怪獣ソフビ博物館

ゴジラ、ガメラ、たまにウルトラマンや仮面ライダーも含めて新旧ソフビを展示

ゴジラ(-1.0) ムービーモンスターシリーズ(2023)

 

 


 ゴジラ生誕70周年記念作品として2023年に公開された「ゴジラ-1.0(マイナスワン)」は、基本的にゴジラシリーズのイメージを踏襲しながらも、戦後間もない過去の昭和時代を舞台とするという新しい試みがあった。大戦の傷や家族の絆など、海外も含めて多くの人が馴染みやすい題材を使ったことが効果的だったか、日本映画としては初のアカデミー視覚効果賞を受賞するという金字塔を打ち立てた。

 登場するゴジラは、奇をてらうことなくオーソドックスなデザイン。重厚な体型は、90年代のvsシリーズに近い印象だ。サイズは初代ゴジラとほぼ同じになった。オキシジェンデストロイヤーのような超科学兵器ではなく、人類の通常兵器で倒されてしまったという点では、歴代ゴジラの中では最弱かもしれない。どちらが上かというと好みは分かれるが、新しいゴジラのキャラクターを生み出したという点に限れば、2016年の「シン・ゴジラ」の方に軍配が上がるかもしれない。一方、特撮映画を大衆映画として多くの世代が楽しめるように裾野をさらに広げ、ゴジラというブランドの地位を最高峰に高めたという点では、このマイナスワンも高く評価されるべきだろう。

 ソフビも映画の公開に合わせて発売された。劇中の前半に負傷した顔の傷も、塗装によって再現されている。劇中同様、背鰭の色も黒っぽい色なので成形色のままとなっているが、体の土汚れのような質感の塗装、顔の口や目などの塗装に手抜きはなく、このタイプの商品としては満足できる仕上がりと言えるだろう。

顔の傷も塗装で再現している

進化を続けるゴジラシリーズ

 

 

ミニラ ムービーモンスターシリーズ(2024)

 

 

 異色作とも言える1967年の「怪獣島の決戦ゴジラの息子」に初登場。3作続けての登場となるなど、おそらく登場時はそれなりに人気があったと思われるが、その後は消息不明。メガロゴジが童顔で性格も優しいことから、これがミニラの成長した姿とする与太話もある。いずれにせよ島に産み捨てられていた卵から生まれ、愛嬌のあるアホ面もゴジラと似ていないことから、本当にゴジラの子供なのか謎。まあ、いろんな意味で魅力的なキャラクターであることは間違いないか。

 そんなミニラのソフビは1991年に最初に発売。その後は2004年の「ゴジラFINAL WARS」で登場したミニラも商品化されたが、昭和ミニラとしては久々の登場となった。ミニラの愛嬌あるアホ面や独特な体型の再現がより完成度が高くなっており、体の黄土色の彩色など細かい部分も嬉しい仕上がりだ。こうなると、脇役ながら東宝特撮操演の最高傑作と言えるカマキラスやクモンガも欲しくなってしまう。ゴジラと並べると、劇中と比べて大柄だ。

ゴジラとは似ていない面白い顔

怪獣というより尻尾の生えた人間的な体型

息子ゴジと並ぶとバランス的には大きめ

 

 

ビオランテ花獣形態 ムービーモンスターシリーズ(2023)

 

 

 1989年公開の「ゴジラvsビオランテ」が唯一の登場作品ながら、その凝った設定もあって非常に人気の高い怪獣。ゴジラと激戦を繰り広げた植獣形態と比べると、その前段階である花獣形態は芦ノ湖ゴジラの熱線にあっさり粉砕されるなど、劇中ではそこまで活躍しなかった。だが、その大きな薔薇のデザインは植物怪獣らしい魅力があり、映画のポスターにも採用されるなど植獣形態をしのぐ人気がある。

 これまで商品化される機会は乏しかったが、2023年に「ゴジラ・ストア」の投票企画によって待望のフィギュア化となった。怪獣ファンにとっては観葉植物のように部屋に飾って眺めていられるほど、非常に出来栄えが良い。5年前に植獣形態が先に発売されており、こちらも造形が良いので、並べて楽しめる。

植獣と花獣のソフビ共演が叶った

 

 

バトラ ムービーモンスターシリーズ (2023)

 

 

 成虫に続き、バトラの幼虫も1992年公開の「ゴジラvsモスラ」から約30年ぶりに商品化。登場したのは1作品だけだが、その攻撃的なデザインの造形、個性的なキャラ設定、悲劇的な最期もあり、なかなか人気が高い。平成のvsシリーズに登場した怪獣は、全て復刻されそうな勢いになってきた。

 公開当時に発売されたソフビもなかなか良い出来だったのだが、造形では新造形のこちらの方がさらに上という印象を受ける。一方で塗装はやや劣り、尻尾の先の部分は残念ながら省略されている。先に発売された成虫と比べるとサイズは大きめ。

成虫と幼虫がどちらも新造形で復活した

 

 

モスラ ムービーモンスターシリーズ(2023)

 

 

 もはや説明不要の有名怪獣モスラが、またしても新造形で登場。2018年に再販されたのは「ゴジラ×モスラ×メカゴジラ 東京SOS」(2003年公開)のタイプだったが、こちらは「ゴジラvsモスラ」(1992年)に登場したモスラ。と言っても見た目はあまり変わらないのだが、新造形で商品化してくれたのはありがたい。

 30年前の公開当時に発売された商品とは違い、翼までソフビ製になったので壊れにくい。展示スタンドはなく、脚部も独立パーツではない。ただし残念ながら、この商品は全体的に作りが甘い。塗装は、先に発売されたバトラ成虫よりも大きく省略化され、翼の裏面は完全に何も塗られていない成形色のままとなってしまった。挙句の果てには翼の表面まで一部が省略されている。5年前に発売されたモスラも塗装が省略化されたが、それと比べても手抜きが顕著だ。劇中でも元々ぬいぐるみのような姿なのだが、造形ももう少し頑張れたような気はする。物価が上がっているとはいえ、販売価格を上げてでも納得できるものを出してほしかった。

ライバルにして腐れ縁のバトラと大きさもちょうどいい

完全に手抜きとなってしまった翼の塗装

 

 

ファイヤーラドン ムービーモンスターシリーズ(2023)

 

 

 ゴジラシリーズの中でも重要キャラであるラドンが、またしても新たに商品化。こちらは「ゴジラvsメカゴジラ」(1993年公開)に登場したファイヤーラドンである。劇中にパワーアップを果たし、ラドンの中では唯一、熱戦を吐ける個体となった。タイトルはメカゴジラに譲ったものの、物語でも重要な役割を果たした。

 ファイヤーラドンのソフビは公開当時に商品化され、その後はサイズを縮小して何度も再販されてきた。そちらも造形はなかなか良かったのだが、今回はなんと新造形で商品化された。足の幅がやや広くなり、首も少し前方に曲がっており、飛行でも直立でも通用するようなポーズになっている。スーパーメカゴジラが商品化された直後だけに、作品公開から30年での商品化は嬉しい。ただし、並べるとファイヤーラドンが結構大きめなので、この体格ならばスーパーメカゴジラを倒して作品タイトルの座を奪えそうである。

劇中とは違いスーパーメカゴジラに劣らない体格

 

 

ヘドラ飛行期 ムービーモンスターシリーズ(2024)

 

 

 公害が社会問題となっていた1971年に公開された「ゴジラ対ヘドラ」は、社会問題を怪獣という形で表現したという点で、1954年の「ゴジラ」に並ぶインパクトのある作品だった。水中棲息期、上陸期、飛行期、完全期と形を変え、不気味に進化を続けたヘドラも、そのデザインや設定は強烈な個性を放つ。米ハリウッド版あたりでリメイクされたら、グロテスクで面白いものになりそうな気がする。

 フィギュア化された飛行期は文字通り、空を飛ぶ時の形態。硫酸ミストを撒き散らしながら飛ぶという、この上なく厄介な武器を持ち、劇中でも浴びた人間が白骨化する様子は衝撃的な場面だった。このところ、バンダイはやたらヘドラを推しているのか、新造形の完全期に続いて飛行期も商品化となった。あまり見ることができない裏側が、カブトガニを思わせる造形になっているのも面白い。

完全期と飛行期のヘドラ

裏側の造形