怪獣ソフビ博物館

ゴジラ、ガメラ、たまにウルトラマンや仮面ライダーも含めて新旧ソフビを展示

メガギラス ムービーモンスターシリーズ(2022)

 

 

 元々はラドンの餌だった古代トンボのメガヌロンが、2000年公開の「ゴジラ×メガギラス G消滅作戦」ではタイトル怪獣に大抜擢。ラドンが果たせなかったゴジラのメイン敵キャラとして大出世を果たした。ヤゴのメガヌロンから羽化したトンボのメガニューラを経て、最終的には怪獣のメガギラスとして変異を果たす。バトラを彷彿とさせる攻撃的なデザインの昆虫怪獣で、瞬間移動のような俊敏な飛行を持ち味とした。

 前作のオルガに続いて新怪獣で勝負した意欲作ではあったのだが、ミレニアムシリーズ特有の雑な脚本と安っぽいCGもあり、ゴジラの敵としてはいまひとつ迫力不足だった感は否めない。そのためか映画の公開当時は商品でも扱いが悪く、ゴジラ、メガギラス、メガニューラ、メガヌロンのセット販売のみだった。公開から20年以上を経て、ようやく単体での商品化が叶った。同時期に発売されたバトラと比べると、塗装もしっかりしている印象を受ける。

顔は昆虫というよりは爬虫類系

トンボらしさも残っている

空中からの攻撃でゴジラを翻弄した

 

 

スーパーメカゴジラ ムービーモンスターシリーズ(2023)

 

 

 ガルーダと合体したバージョンのスーパーメカゴジラは、1993年の「ゴジラvsメカゴジラ」公開当時は商品化されず。それが30年の時を経て「ゴジラ・ストア」限定商品としてついに初登場を果たした。第2回の投票企画でも優勝したバランと最後まで争っていたため、ファンの熱い要望が伝わり、2位でも採用してくれたのだったら非常にありがたい。

 ガルーダが備える2基の高出力メーサービームキャノンが加わって火力アップ。ゴジララドンを痛めつけた腹部のプラズマ・グレネイドの砲門が開いたバージョンとなっている。メカゴジラは数々の作品に製造者を変えて登場しているが、このGフォース版はやはりスーパーメカゴジラとしてのバージョンが最もしっくりとくる。なお、ガルーダと合体していない通常バージョンも発売されている。なお、このスーパーメカゴジラはガルーダを背負っている重みのせいか、つま先が浮いて尻尾が地面に着いてしまう。

背負ったガルーダとは一体化している

ゴジララドンと死闘を繰り広げた

 

 

バトラ ムービーモンスターシリーズ(2022)

 

 

 このところのムービーモンスターシリーズの新造形ラッシュの流れに乗り、バトラも1992年公開の「ゴジラvsモスラ」から30年ぶりに登場。ソフビ化しやすそうな幼虫ではなく、意外にも成虫の方が商品化された。モスラの相方としてのキャラ印象は強いが、そろそろスクリーン上でも復活が見たい気はする。

 30年前のものと比べるとサイズは小さくなり、翼もソフビ製なので壊れにくくなった。このサイズで造形はまずまず頑張ったと言えるが、翼の裏側の塗装が大きく省略されてしまったのは残念だ。胴体部分の塗装も、グラデーションで塗られていた1992年の商品と比べると大きく劣る。

モスラと比べて攻撃的な顔つき

劇中では好敵手モスラと最終的に力を合わせた

翼の裏側は塗装が省略されている

 

 

ゴロザウルス ムービーモンスターシリーズ (2021)

 

 

 日本でキングコングを主役にした作品「キングコングの逆襲」(1967年公開)では、前半の敵キャラとして登場。米国版の原作を意識したか、いかにも肉食恐竜といった造形だ。この作品ではキングコングの引き立て役として終わったが、ゴジラシリーズ初登場となった「怪獣総進撃」(1968年)では、得意のカンガルーキックでキングギドラをダウンに追い込むという大活躍を見せた。この一撃で弱ったキングギドラは哀れにも、地球怪獣軍団によって袋叩きにされてしまった。

 ゴロザウルスのソフビは1993年にも発売されており、そちらの出来も非常に良かった。だが、こちらは2021年の「ゴジラ・ストア」によるファン投票の記念すべき第1弾として商品化。昭和の脇役怪獣なのだが、やはりキングギドラを倒した一撃がファンの記憶にしっかりと刻まれていたのかもしれない。尻尾を地面から浮かせた恐竜ポーズを取らせることができるなど、造形や可動も申し分なく、少し毒々しい青緑色の彩色や皮膚の質感も満足できる仕上がりと言えるだろう。

前傾姿勢の恐竜ポーズもOKだ

総進撃ゴジとのサイズバランスも非常に良い

 

 

バラゴン ムービーモンスターシリーズ(2023)

 

 

 昭和の怪獣らしい造形で「フランケンシュタイン対地底怪獣」(1965年公開)に初登場。このところ急に昭和の脇役怪獣の商品化が進んでいるが、ゴロザウルスやバランに続いてバラゴンもサプライズの新造形で再登場。「怪獣総進撃」(1968年公開)の脇役怪獣が出揃ってきたので、この勢いで2代目ラドンや2代目アンギラスも商品化してほしいところだ。

 昭和バラゴンは1992年にもソフビ化されているが、縮小化されて再販されることはなかったので、このシリーズとしては約30年ぶりの登場となる。今回はより愛嬌のある顔つきになった印象だ。前回と同様、2本足で立った怪獣らしいポーズでの再現となった。造形は非常に良く、このところムービーモンスターシリーズのクオリティが改善されているのは嬉しい傾向だ。元々色はそこまで使わない怪獣なので、塗装も文句なしだろう。

ウルトラ怪獣にも流用された胴体

怪獣総進撃の脇役たちが続々と商品化されている

 

 

バラン ムービーモンスターシリーズ (2022)

 

 

 ゴジララドンに続いて主演となった「大怪獣バラン」(1958年公開)はモノクロ作品のためか知名度が低く、唯一のゴジラとの共演となった「怪獣総進撃」(1968年公開)でも一瞬の顔見せに終わるなど不遇の怪獣だったバラン。その後、何度も構想段階では復活の話が持ち上がるも、尽く破断になっていた。

 ゴジラの破壊力とラドンの飛行力を持つ怪獣とされ、ムササビのように手足の間の膜を使って滑空することができる。だが、東北の山村から飛び出したところまでは良かったものの、東京の玄関口である羽田空港で撃退されてしまうなど、上京して夢破れたお山の大将のような残念なイメージも確かにあった。

 これまでソフビ化の機会に恵まれなかったのだが、2022年の「ゴジラ・ストア」の投票企画によって1位に輝き、本当に待望と言える商品化となった。怪獣ファンは、不遇の怪獣を見捨てていなかったのだ。さすがにマニア向けの商品とあって造形は素晴らしい。主演として大暴れした四つ足ポーズのバランを再現している。ちなみにアニメ作品「ゴジラ S.P <シンギュラポイント>」(2021年放送)に登場するゴジラアンフィビアは、明らかにバランを意識した造形となっていた。やはり、ファンの間では復活を待望されている怪獣なんだろうと思う。一度、スクリーン上で再びバランの復活が見たい。

四つ足姿勢での商品化となった

両腕を上げると滑空姿勢のようになる

ゴジラアンフィビュアとは共通点が見られる

 

 

エビラ ムービーモンスターシリーズ(2023)

 

 

 まさかエビラのソフビが登場するとは思わなかった。バンダイ怪獣ソフビの全盛期だった90年代前半頃にも商品化されることはなかっただけに、これは本当に嬉しいサプライズだ。タイトルに名を連ねる「ゴジラ・エビラ・モスラ 南海の大決闘」(1966年公開)では、ゴジラと岩石をテニスやバレーボールのようにラリー合戦を披露し、クライマックスでは水中戦を展開。最後はハサミを食いちぎられて撤退してしまった。

 巨大なエビというだけで目立った必殺技があるわけではなく、昭和の中では比較的地味な怪獣なのだが、造形はしっかりしている。ここ最近のムービーモンスターシリーズで良い傾向だ。塗装も赤一色で手抜きすることなく、甲殻類らしい質感が出ており、待望の発売に加えて満足できる仕上がりとなっている。右手の巨大なハサミと、左手の細く鋭いヤリのようなハサミもちゃんと再現されている。

甲殻類らしい体型

ゴジラとは水中戦を繰り広げた