基本的に作品の世界がつながっている昭和ゴジラや平成のvsシリーズとは違い、ミレニアムシリーズは作品ごとにゴジラの設定が変わる。大人ならばとにかく、子供の観客にとっては分かりづらかったのではないだろうか。平成ガメラ3部作の金子修介監督がメガホンをとった2001年公開の「ゴジラ・モスラ・キングギドラ大怪獣総攻撃」では、ゴジラの設定も風貌も前作とは大きく変わった。太平洋戦争の犠牲者による怨念の集合体とされ、歴代ゴジラでは最も凶悪な性格。人間や敵怪獣をいたぶるように殺し、白眼からは感情が読み取れない。頭が大きくなり、肉食恐竜を思わせる身体のバランスになった。通称は作品名から「GMKゴジ」と呼ばれる。
この作品にはキングギドラやモスラら有名怪獣も登場し、興行的に失敗したミレニアムシリーズの中では最も成績が良かった。それでもvsシリーズのデストロイアやビオランテのような新怪獣ではなく、安易に知名度が高いキングギドラとモスラに頼った感は否めない。当初の構想ではバラゴンの他にアンギラスとバランが登場予定だったというが、そちらの方が見たかった。加えて、この作品から「とっとこハム太郎」と併映にしたのも東宝の大きな失敗だっただろう。大人のファンが劇場離れしたのはもちろんだが、この歴代最凶にして最恐のゴジラでは、ハム太郎目当ての幼い観客に、とてつもない恐怖を植え付けたように思える。全体的に中途半端なCGの安っぽい仕上がりが多いミレニアムシリーズの中では映像に迫力があり、作品のコンセプトも決して悪くなかっただけに、興行の戦略面で残念な部分があったのが惜しい。
ソフビは、映画に合わせて千年竜王のキングギドラ、モスラやバラゴンら護国聖獣と一緒に発売された。平成のゴジラの中では頭が大きく異質の体型だが、なかなかよく再現できている。全高も20cm以上あり、この当時はサイズが縮小路線だった「ゴジラアイランド怪獣シリーズ」や「ムービーモンスターシリーズ」と比べ、ボリュームがある。2005年に限定販売された「ゴジラ50周年メモリアルBOX」で、これまで商品化されていなかった歴代ゴジラのスーツが数多く新規造形され、歴代ゴジラのスーツで主演を務めた個体はほとんどバンダイのソフビで網羅できるようになった。その中で、この「GMKゴジ」と次作の「機龍ゴジ」、そして硬質ソフビ時代の「ビオゴジ」(もしくはギドゴジ)は縮小サイズで再販されていない。