アニメ版ゴジラの最終作「GODZILLA星を喰う者」では、最後の敵としてギドラが登場。今回は「キング」の冠はなく単に「ギドラ」という名前で「高次元怪獣」という設定が与えられた。異次元に存在するため敵から攻撃は受けず、自身は攻撃できるという反則技のような能力を与えられ、ゴジラの熱線を捻じ曲げるなどの超次元的な技も見せた。劇中ではブラックホールから非常に長い3本の首が登場し、翼や胴体が描かれることはなかった。とはいえ、金色に輝く刺々しいデザインはアニメという強みも生かし、歴代ギドラの中でも神々しさを放っていた。残念なのは、この3部作で唯一の怪獣同士の戦闘シーンなのに、ゴジラとの戦いが今ひとつ見せ場を欠いた点である。
しかし、それよりも残念なのは写真を見ての通り、ソフビのクオリティがあまりにも醜いことである。造形も彩色も、明らかに手抜きだ。ソフビなので多少は仕方がないにしても、刺々しいデザインは殆ど再現されておらず、顔もよく見ないと何の怪獣なのかも分からない干物のようである。劇中に登場しないから仕方がないにしても、胴体と脚が一体化されているのも手抜き造形。翼は前年に発売されたセルヴァムのソフビの使い回しとみられ、分厚くてダサい。何より問題なのは塗装である。首と翼は表面しか塗られていない中途半端さで、雑な塗り方もチープさを際立たせている。黄金に輝くギドラを手っ取り早く再現しようとしたのか、成形色は半透明の黄色だが、かえって逆効果でバナナや干し芋のように見える。
他のギドラのソフビのように全身を金色に塗装し、ガイガンのソフビのような刺々しさが少しでもあれば、多少はマシになったかもしれないが、これはひどい。価格を5000円以上に上げてもいいので、メカゴジラと同様に「マスターディティール」のシリーズで限定販売しても良かったのではないだろうか。2010年代のバンダイのムービーモンスターシリーズは全体的に品質が低下しているが、昭和から令和までの歴代ソフビの中でも間違いなく最低の出来である。ちなみに、これで2500円(税抜)だが、売れていないのかAmazonでは値崩れを起こしている。