米国版になっても、やはりゴジラの最大の宿敵はキングギドラなのだろう。この3つ首に金色の芸術的デザインは、誕生から55年を経ても海外で十分に通用するのだ。2019年公開の「ゴジラ キング・オブ・モンスターズ」では、従来のギドラの特徴を残しつつ、ハリウッドらしいアレンジを加えた造形になった。マグロを食ってミサイルで倒された似非ゴジラのような米国映画のモンスターにありがちなグロテスクさもなく、この映画の製作陣は本当に日本の怪獣映画が好きなのだろう。「モンスター・ゼロ」の呼び名や十字架を手前にした構図など、昭和ゴジラに対するオマージュのような表現も良かった。3本の首にそれぞれ性格があり、首を失ってもトカゲの尻尾のように再生するのは、今まで日本では見られなかった設定。
ソフビは、ラドンやモスラに比べれば頑張った方か。身体の造形のディティールは結構しっかりしている。一方で根本的なセンスの問題なのか、3本の首が横に並んでしまっているデザインが今ひとつ。1984年版のソフビでさえ、首の形はそれぞれ別々に造形されていただけに、手抜き感は否めない。これまでキングギドラのソフビは金色の彩色が多かったが、今回はくすんだ黄土色。劇中もそのような色だったから、これは仕方がないか。可動部分は殆どないので子供が遊びには不向きだが、大人向けにしては甘さがある中途半端な商品。